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革と靴との関係性の考察 [リポート]

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なぜワタクシは「革が肉厚」と錯覚したのか。

持つべき知り合いは、その道のプロですね。

先日こちらの記事で「昔のグリーンは革が肉厚」といった内容を書いたところ、

ユニオンインペリアル』の企画を手がける、

世界長ユニオン株式會社の小田哲史さんから

「今も昔も革の厚さは変わらないはず」とコメントをいただきました。

ちなみに小田さんとは靴業界人が集まる飲み会で知り合いになってから、

何かとお世話していただいています。

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その小田さんによると、

ワタクシが感じた「革が肉厚で柔らかいけど、しっかり張りがある」というニュアンスは、

実際には文字通り「肉厚」によるものでないと。

例えばアノネイやデュプイでは、

昔から規格は1.2-1.4mm厚か1.3-1.5mm厚という二つの設定しかないということ。

というのもカーフは若い牛のために皮膚が薄く、

高級ドレスシューズで使えるクオリティのものを安定的に生産するためには、

通常は1.2-1.4ミリの範囲になり、

厚めのリクエストをしても1.3-1.5ミリにしかならないらしい。

つまり必然的に今も昔も、

グリーンに採用されるような革は1.5ミリ以上の厚さにはならないと。

したがって肉厚と感じさせているのは実際の厚みというより、

革の柔らかさやライニング素材のクオリティなど複合的要素の組み合わせによるもので、

触感として「肉厚」と錯覚しているようなのです。

さらに、革の「柔らかさ」と「張り」は相反する性質のものなので、

「柔らかくて張りがある革」は非常に微妙なセッティングを必要とすると。

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でここから先は「革のプロから話を聞いた方がいい」ということで、

アノネイやデュプイ、Charles F. Steadなどの卸売りを手がける、

柳嘉株式会社の柳田社長に話をお伺いすることに。

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例のエドワード・グリーンを手に取った柳田社長の口から最初に出たのが、

アッパーの革質を讃える一言でした。

「アッパーはおそらく英国のタンナーだった

ピポディ社のボックスカーフではないでしょうか?

非常にもっちりとしていて30年近く経っているのにクラック一つないのは、

鞣し技術が如何に高いかを表していますね。

さらにこちらの靴については手入れが行き届いており、

それが程よい柔らかさに繋がっていると思います」

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続けて「ライニングの革も良いですね。

こちらもピポディ社製を使っているかもしれません。

だからアッパーとの相性が良く、

“柔らかいけどハリがある”状態を何十年もキープできているのかも」。

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この社長の言葉を受けるように小田さんからは

革靴はライニングで決まる部分が大きいんですよ」。

なんでも革質の高いライニングは吸水性や通気性が高く、

靴が長持ちするし足馴染みもよくなる。

そして何よりも綺麗なラインや皺が出やすくなるなど、

ライニングレザーのクオリティが革靴の出来に大きな影響を及ぼすことがわかりました。

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(柳田社長私物の20年モノ「SCOTCH GRAIN」こちらも恐ろしく革質が良かった)

その他に製造環境の違いなども

靴の出来に違いをもたらしているかもしれないという話も出たりして、

まさに小田さん言うところの

“複合的要素の組み合わせ”によって一足の靴が成り立っているのだなと実感。

とても勉強になるディスカッションでした。

小田さん、柳田社長、お忙しいところ有難うございました。


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2020-11-04 12:00 
共通テーマ:ファッション

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